「本棚の本」赤澤かおり

この本は、鎌倉のお気に入りの本やである「たらば書房」さんで見つけ、ちょっとした運命みたいなものを感じて買った本です。

「その人自身のことが、また一つわかったような、本の並びを見て、うんうんとうなずいてしまうような、そんな感じ」

と帯に書いてあるように、自分も本棚にはその人自身のことが色濃く表現されているような、そんな気がします。

自分の本棚を見ると、うーんとなってしまうのですが、本を買うときは、意識するにせよしないにせよ、その時の自分に必要なものを選んでいるような気がしますし、また捨てるときもどうしても残しておきたい本を選び出すわけなので、結果かなり自分の考えや生き方がどうしても反映されてきてしまうような気がするのです。

筆者の赤澤さんの帯の言葉には、うんうんと思わずうなずいてしまうところがあります。

「このひとの本棚を見てみたい」という思いから、赤澤さんの本作りがスタートする訳なのですが、そのメンバーも魅力的です。

鎌倉で手仕事の生地とオーダーの洋服のお店「Fabric Camp」を営む田中千夏さん。
葉山にあった美術作家の永井宏さんのギャラリー「サンライトギャラリー」に立ち上げから参加していたそう。
この「サンライトギャラリー」は、鎌倉で「cafe vivement dimanche(カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ)」をはじめる20代の堀内隆志さんや、まだ10代後半だった根本きこさんなども参加していた、ギャラリーで現在の湘南のカルチャーの源流にある、ものをつくる人をたくさん輩出したギャラリーです。

他にも鎌倉のピッツェリアとクラフトビールのお店「ブルームルーム」の店長田中耕太朗さんや、エディトリアルデザイナーの茂木隆行さん。
何だかその人を知るだけでも得した気分になれるのに、さらに本棚まで見せてもらえて二度美味しい感じなのです。

そして、自分の尊敬する編集者でライターの富山英輔さんの名前も。
片岡義男さんの「波乗りの島」、Peter Beard「Diary」などなど、ちょっと読んでみたくなりますよね。

そんな感じで、面白い人を知ることができる+読みたい本が見つかるという、一石二鳥の本です。