今日は久しぶりにデザイン関係の本のご紹介。
「絵はすぐに上手くならない」成富ミヲリ著 です。
この本は「絵が描けないのはセンスがないせいだ。」という固定観念を、非常に論理的に全否定してくれる本です。
「絵が描けないのは、センスがないからという曖昧なものではなく、絵を描くために足りない能力があるからで、トレーニングでその足りていない能力を伸ばせば、必ず上手くなる」というのが主旨です。
まず最初に目からウロコなのが、「絵が上手い」というのには二種類あるというお話し。
1つめは、線が綺麗に引ける、形が上手く取れている、などのテクニック的な上手さ。
2つめは、ものの形を知っていること。
1つめは一般にいう絵が上手いの認識と近いと思うのですが、2つめの「ものの形を知っていること」というのは、電車を書いて欲しいと言われたときに、電車の形を知っていれば、他の人よりも上手く描けるということを意味しています。
この部分を読んで、昔、キン肉マンのマンガが上手だったクラスメイトは、キン肉マンの形を正確に知っていたからだと思い至りました。
逆にどんなにテクニックがあっても、キン肉マンを知らなければ、上手く描くことは出来ません。この場合は、形状を知っているという能力が、足りていないことになります。
この本によると、絵を描く能力は以下の8つに分類されます。
・アイディア
・オリジナリティ
・形状ストック
・構図構成力
・形を取る力
・立体を把握する力
・テクニック
・完成させる力
上記の8つの項目で、自分に足りていない能力を正確に把握すること。
そして、その能力を効果的にトレーニングする方法までが指南されています。
また、職業によって、必要な絵の能力も異なってくるということも分かりやすくまとめてあり、確かにと頷ける内容です。
例えば、デザイナーにはアイディアやオリジナリティー、形状ストックは必要ですが、形を取る力や立体を把握する力はそれ程必要ないということをバランスシートの図を使って説明してくれています。
読み進めるうちに、自分が足りていない能力と、自分が必要としている能力を把握し、その能力を伸ばすトレーニングを続けることで、きっと絵が上手くなれると、心から信じさせてくれる本です。
もし「絵はセンスだから…」と諦めてしまっている方がいれば、ぜひ読んで見て頂きたい一冊です。