今日は「サーファー・真木蔵人」富山英輔著をご紹介します。
実は数日前、偶然BOOKOFFで見つけ、20年ぶりに手に取りました。
改めて、この本は間違いなく傑作です。
20年前、近くにあった文教堂でこの本と出会い、1ページ1ページ、ドキドキしながら読み進めたのを、昨日のことのように思い出します。
サーフィンを始めたばかりだった自分は、真木蔵人さんを通して、その向こう側に広がっているサーファーたちの世界に胸を高鳴らせました。
真木蔵人さんを初めて知ったのは、高校生の時に観た北野武監督の名作「あの夏、いちばん静かな海。」だったと思います。
僕の持っていた「サーフィン」そのもののイメージを根底から覆すような、静謐で美しい物語でした。
今思えば、理屈っぽく、やや斜に構えたところのある僕が、素直にサーフィンに憧れてこれているのは、この映画があったからなのかもしれません。
この映画での真木さんは、聾唖の真面目でひたむきな青年の役を演じているのですが、「こういう風になりたい」と思うくらいに憧れました(笑)。
そして、曲りなりにもサーフィン始めた自分は、何とかアップス(サーフィンの基礎)ができるようになった頃、この本と出会います。
まだまだサーフィンの「サ」の字が少しだけ分かるようになったころに、真木さんの生きる世界を追体験することで、さらにサーフィンへの憧れは強まりました。
著者の富山英輔さんもまた僕の憧れの人です。「NALU」や「SURF MAGAZINE」といったサーフィン誌の編集長を歴任し、サーフィンの持つ奥深い魅力の本質を、鋭くも透明感のある描写で誌面に再現してくれます。
冨山さんの文章が、今日のサーフィンを形作ってきたと言っても言い過ぎではないと思います。少なくても、僕にとってはそうです。
この2人が作り上げた物語が面白くない訳がありません。
結局、僕は富山英輔さんと真木蔵人さんという2人のサーファーの背中を、はるかはるか遠くに見ながら、これからも追い続けていくのだと思います。