この本はデザインを作るためだけの本ではありません。
デザインの基本となる、「情報を整理する」ための知恵がたくさん詰まった本です。
ものすごくシンプルに図解にする技術を教えてくれるので、著者の櫻田潤さんの本を何冊も買ってしまったほどです。
櫻田潤さんは、情報を整理して視覚的に表現する、「インフォグラフィック」の専門家で、ニューズピックスのクリエイティブ統括者でもあります。
WIRED、ハフィントンポストといったメディアからのデザイン依頼や、コンサルティングファームや広告代理店で「図解思考」「デザイン×図解」などのテーマで研修をこなす図解の超プロといえる人です。
この本で紹介されている図解は以下の7つです。
1)交換の図
→あらゆる関係を見える化する
<できること>
・ヒト・モノ・カネの動きを見える化する
・ビジネスモデルを見抜く
2)ツリーの図
→モノゴトの構造をクリアにする
<できること>
・こんがらがった情報を整理整頓する
・成功の共通点を見つける
3)深堀りの図
→疑問をどんどん掘り下げてクリアにする
<できること>
・自分の置かれている状況を改善する
・問題の切り分けと解決をはかる
4)比較の図
→2軸で項目の違いをクリアにする
<できること>
・商品の比較・検討をする
・人気サービスの違いを分析する
5)段取りの図
→目的や目標までの道のりを「見える化」する
<できること>
・提案書作りの手順をまとめる
・業務の流れを見直す
6)重なりの図
→商品やサービスの「特徴」を浮き彫りにする
<できること>
・好調サービスの強さを発見する
・ロングセラーの理由をまとめる
7)ピラミッドの図
→目指す方向性をはっきりさせる
<できること>
・売上拡大の方針を決める
・巨大企業の動向を予測する
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この7つの図解が、かなりシンプルなので、覚えやすいのです。
図解で考えるノウハウを教えてくれる書籍は結構あるのですが、図解の方法が難しかったり、量が多かったりして、キャパオーバーになることが多かったのですが、7つという量であれば、何とか覚えていられそうなところもグッドです。
図解をする方法を覚えるということは、思考を整理するためのフレームワークを覚えるのに近いと思います。
こういう問題が起こったときには、この図解にあてはめてみると、頭がすっきりと整理されるという、思考のレシピのようなものです。
もちろん、日々のトレーニングが必要で、まだまだ使いこなせてはいないのですが、この7つの図解が身につくことで、デザインの仕事にも大きく生きる気がしています。
この本は、問題と回答というクイズ形式で、普段の仕事や生活にも応用できるケーススタディがついているので、本と実際の生活を往復しつつ、徐々に身につけて行きたいと思います。
ちなみに櫻田潤さんは、ドラッカーの『マネジメント』から『TED』のプレゼンまで、どんなものでも「図」にしてしまうらしいです。
普段から、これを図解にしてみるとどうなるかな?と思いながら生活してみるのも、結構楽しそうですよね。