「グレー」に魅せられて

2020.05.15

そう言えば、街中を走るヌメッとしたグレー色の車が増えた気がする。最先端の技術を詰め込んだ車には、鋭角な色彩を纏わせるのがセオリーだったのかもしれないが、最近は穏やかでどんなシーンでも馴染むグレーが好まれているらしい。たとえば、塩ビ管のようなテイストを感じさせるM社のカラー設計もその辺りを鋭く付いている。きっと、消費者のマインドのベクトルが、穏やかで肩の力が抜けた方向なのを読み込んでのことなのであろう。

グレー、日本では「灰色」。白・黒・灰色はいわば無彩色、モノトーン。白と黒は明らかに単色だが、グレーに関して言えば、その奥行きが広くて深い。モノトーンとしての単色のグレー、やや赤みを感じるウォームグレー、やや黄色味を感じるグレー、少し青味のある俗に言うフレンチグレーと、グレーは一様ではなく、いろんな顔を持つ。またファッションにおいてもグレーは、他のどんな色にもマッチし、コーディネイトのベーシックなカラーとして定着しているのは周知の事実。Gray hairも素敵な大人の表現だし、食器もグレーが流行り出していて、カフェやレストランで結構使われているらしい。

そして、UIデザインにおいてもグレーは重要な役割を果たしている。例えば、代表的なSNSのUIを実際に調べてみると、役割に合わせて7種類のグレースケールを導入して、優先度の高い情報ほど明度を下げたり、色相の違うグレーを使い情報の属性を分けている。まったくもってグレーは懐が深く名脇役であり、時として主役にもなる稀有の色男なのである。


余談になるが、大好きな映画のひとつにプレイタイム(1967年 ジャック・タチ監督)というフランス映画がある。膨大な時間と製作費をかけて挑んだ野心作で、全編を高画質の70ミリフィルムで撮りあげたフランス映画史上屈指の大作コメディ。半年以上もの時間を費やしてパリ東部に建設した巨大セット「タチ・ビル」の近未来的な都市を舞台に、ある男とアメリカ人観光客バーバラのすれ違いや出会いをユーモラスに描く。その全編に施されている「フレンチグレー」がとても印象的でお洒落なのである。ヴィヴィッドな色彩を引き立てる役割と同時に、全体の世界観を見事に表現している。


https://eiga.com/movie/27134/video/


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