「マイパブリックとグランドレベル」田中元子

マイパブリックとは、「自家製の公共のこと」。
グランドレベルとは、「地面のこと」。

と言っても、さっぱり意味がわからないとは思うのですが、「マイパブリックとグランドレベル」、読むとすっきり分かります。

著者はデザインや建築などの専門分野と一般の人をつなぐ、建築コミュニケーター・ライターの田中元子さん。
どんどんアイディアが湧いてきて、それを実行してしまう、かなり面白い人です。

自分の事務所にバーカウンターを作るところから物語は始まります。

IKEAで作業台を買ってきて、何とかバーカウンターのようなものを作り上げたところ、お客さんを呼びたくなります。
事務所なので営業することはできないため、無料でお酒を振る舞うことにしたところ、それが、とても楽しい。
何か見返りを求めるのではなく、何と無料で振る舞うことの楽しさに目ざめてしまうのです。

そこから、無料でコーヒーを入れる屋台をスタートします。
街に出没し、道行く人にコーヒーを淹れる。
そうすると、周りの人も喜ぶし、自分も楽しい。

他者が自然に入り込める場所を、自分で作ること。
それがマイパブリックです。

自分は曲りなりにも商売をしているので、対価を得るということにも目線が行くのですが、そうではなく振る舞うということ自体に楽しさがあるということに、とても関心が向きました。
自分が誰かのために行動を起こしつつ、自分も充足される状態って、やっぱり理想的だなと思います。

そして、著者の楽しそうな物語を読んでいると、「振る舞う」って、きっと楽しいんだろうなって素直に思えるんですよね。
いつか、マイパブリック、実践してみたいなと思います。