今、大人たちの間で、もの凄く流行っているという「漫画 君たちはどう生きるか」。
すでに200万部を超えて、異例の大ヒットとなっているとのこと。
近くのファミリーマートでも売っており、主人公であるコペルくんという中学生がまっすぐにこちらを見つめる表紙に引き込まれ、ついつい手にとってしまいました。
「君たちはどう生きるか」はコペルくんと呼ばれる15才の少年が、いじめや身近な貧困、差別、偏見、友情などに思い悩みつつも、的確なアドバイスをくれるおじさんに支えられながら、成長していく過程を描く小説です。
もう僕は、「君たちはどう生きるか」って聞かれても、苦笑いしながらはぐらかしてしまいそうなくらい、何となく長いこと生きてきてしまったような気がします。
正直、ちょっと青臭いと思ってしまうところもなくはありません。
ただ、この本が売れる理由は、「ホントにそれでいいのか?」と問い直してくれる誰かの存在を、皆どこかで求めているからかもしれないと感じました。
コペルくんは、この小説の中で、苦しみ続けます。いじめを止められないとき、貧困の中にいる友人をみるとき、大切な友人を裏切ってしまうとき。
大人になると、少しずるくなり、苦しみを上手く緩和する方法を覚えてしまいますが、この本を読むと喉元にナイフを突きつけられているような逃げ場のない気分になります。
それは僕らもいつか直面した問題であり、結局、今だに答えの出ない問題だからなのかもしれません。
コペルくんと一緒になって苦しみ、考え、一歩踏み出す。
そうすることで、心の中に少し芯のようなものが生れてくる。
大人がこの本を求める理由は、そんなところにあるのかもしれないと思います。